がっかりしたい

これまで人に関心を持ちすぎたおかげでたくさんの無駄なエネルギーを消費してきた。

他人に余計なアドバイスをしてきたし、何かあれば僕が他人に相談もしてきた。

言えることはひとつ。

余計だった。

アドバイスした相手は、「なるほど、よくわかりました。ありがとうございます」と毎回言ってくれた。

でもいつまでも変わらなかった。

僕の相談にのってくれた人のアドバイスは正論だった。

でも僕は変われなかった。

正論の通りに人が動くなら平和だ。

戦争も殺人も暴行も盗みも不倫も格差もない。

僕は人の言葉を鵜呑みにするタイプだった。

いろいろ騙された。

でもまだどこかで人を信じようとした。

するとまた騙された。

虚しさが増してきた。

人のアドバイスはいらない。

人にアドバイスをしない。

僕の人生は僕が決める。

他人の人生は他人のものだ。

自分を犠牲にしてでも守りたいと思えない奴のために親身になる必要なんてない。

適当に聞き流せ。

面白いもので適当に聞き流せるようになればなるほど、人が僕にいろいろ話してくるようになる。

以前は些細な話でも反対の意見を持っていれば迷わず意見を述べていた。

それが今は、「なるほどそういうことですか」と聞き流す。

「あなたが言いたいことは、こういうことですよね」と相手の言葉を言い換えて伝える。

ほんとうは、「あなたの価値観なんて僕にとってはどうでもいいです」と言いたい。

どうせ大した価値観じゃないんだから聞きたくもない。

でも社会だ。仕方ない。

アドバイスしたって変わらないのだったら、もうしない。

他人とほんとにわかり合うのは困難なのだから、わかり合おうとしなくていい。

ただそれだけ。

人に対して諦めがつけられるようになるためにはあとすこし人にがっかりさせられる必要がありそうだ。

人にがっかりさせられればさせられるほど、妻や仲間を大切に思えるようになる。

不思議だ。