今ここからやる

また後で使って汚れるのはわかっているのに、毎回洗わなければならないことがバカらしくて茶碗や洗濯物がどんどん溜まっていく。

生活していたらまたどうせすぐに汚れるのだからと掃除をせず散らかり放題の部屋で暮らす。

どうせ死ぬ。しかもいつ死ぬかわからない。明日かもしれないし、数十年後かもしれない。そんな不安定な人生の何を信じたら将来に向かっての努力をしようという気になどなれず暗く沈んだ日々を過ごしてきた。

 

今から14年ほど前に整理整頓された空間の心地よさを知った。そこから少しだけ掃除ができるようになった。このときから今につながる何かが変わりはじめた。

それから14年かかって、意味や結果にばかりこだわらない、今この瞬間に重点を置いた生き方の大切さを知り、気持ちが楽になってきている。

今、ここでやらない限り、別のどこかでやるチャンスはおとずれない。今ここでやったことの先の先にある結果を受け取ることはできないかもしれないかど、少なくとも次にすべきことは見えてくる。見えてきた次にすべきことをやり、またそこから見えてきた次にすべきことをやる。その繰り返しでいい。

今やることで見えてきた次やるべきことそれ自体が僕の得る結果だ。とても距離の近い結果だけど、それが次に続く尊い結果だ。

原因が結果を生み、その結果がまた何かの原因となって次の結果を生む。人生は続いている。繋がっている。時間も人もどこかでどこまでも繋がっている。

もう若い頃の、「どうせ死ぬんだから、頑張ったって意味ないよ」って感覚には戻りたくない。よくそんな苦しい気持ちで生活していたものだと今になればゾッとする。

僕は若い頃の気持ちを忘れつつある。音楽を聴いても、映画を観ても、お酒を飲んでいても、あの頃の感覚は蘇ってこない。これが顕著になったのは7年ほど前からだ。若い頃の僕と今の僕との感情的な繋がりがそれほど強くなくなってきた。

それでいいんだと思う。今これからを生きるためには苦しかった時期をいつまでも引っ張っておく必要はない。

今、ここからやるだけだ。