マザコンのくせに

野際洋子さんが亡くなった。3年前から闘病生活をされており81歳だった。ご冥福をお祈りします。

僕の母は今年で75歳だ。目も耳も、足腰も、頭もしっかりしている。だから母の死を生々しく考えたことはなかった。

僕にとって野際洋子さんはドラマ「トリック」における仲間由紀恵の母親役のイメージが強いのだが、ドラマの「トリック」を初めて見てから16年が過ぎてることを思い、あと16年先まで母が元気でいてくれるのかどうかを考えさせられた。

僕は母に何も恩返しをしていない。未だに助けてもらってばかりいる。

自分の時間を犠牲にして僕を育ててくれた。何があっても味方だった。いつも家族のことを第一に考えてくれた。やさしくて、明るい母。

母がいたからこそ今の僕があるのに、大きくなったら自分の好きなように生きたいと実家から遠く離れた土地で自分のことだけを考えて生活している。そんな僕っていったいどうなんだろう。

母は自分の面倒は見なくてもいいと僕ら兄妹には言う。

でも育ててもらったあとは知らんぷりでいいのか。

僕ら夫婦には子どもはいない。将来に繋がる何かを生み出すわけでもなく、過去からの連続も断ち切ろうとしている僕はいったい何のために生きているのだろうか。

このままだと後悔するのは確実だ。

でも具体的に何をしたらいいのかがわからない。どうしたら親孝行ができるのだろう。

親にとっては子どもに元気でいてもらえるのが一番なんて気休めでは納得できない。ありがたいことに元気だけはあるから、それプラスなにかさせてもらわないと。

何をするのか。しっかり考えて行動にうつさないと、ほんとに間に合わないことになる。